「え、えと……ホントにするの? 鈴音」 自分の両足の間にちょこんと背を向けて座り込んだ少女に、セナがためらいがちに声をかける。 「あったりまえでしょ! こんなこと、冗談で頼まないわよ!」 耳まで真っ赤になりながら、鈴音は背後のセナに答えた。 女子トイレの個室の中で、洋式便座に二人掛け。セナも鈴音も小柄ではあるが、それでも二人で座るには結構密着する必要がある。セナの胸に鈴音の背中が押し付けられ、髪が首筋をくすぐった。 「そ、それじゃあ……ホントのホントに……するよ」 セナの最後通告に、意を決してコクリと鈴音が頷く。 「身体測定日まで残り一週間。絶対に、あと三センチは大きくなってみせるんだからぁ!」 (あと一週間じゃ無理な気がするなぁ……) 鈴音の決意に水を差さないよう、心の中でセナは呟く。そして、そぉっとセーラー服の裾から自分の両手を差し入れた。 「ンッ!」 ビクッと鈴音が身を竦める。服の下でもぞもぞと伸びていくセナの手は、無駄な肉の無いすべすべの腹部を羽のように微かになぞって胸に届いた。 あらかじめブラのホックは外してある。少年の指先は簡単にその下に潜り、控え目な膨らみを包み込む。 (うわ、小さくてもやっぱり柔らかいんだ。それに、あったかい……) 「セ、セナ。言っとくけど、これはマッサージなんだからね。変な気になったりしたら駄目だからね!」 「鈴音、無茶言い過ぎ……」 首だけで振り向いて訴える鈴音に、ゲンナリ顔で返すセナ。 「大体さ、バストアップ目的なら自分でマッサージすればいいじゃない」 「だって、友達が『男の人にしてもらった方が効果ある』って……」 「騙されてる。絶対騙されてるよ、鈴音」 「と、とにかくここまできたら手段は選んでられないの! 私だって“まも姐さまレベル”まで高望みはしないけど、せめてクラス最下位だけは避けたいもの!!」 セナにしてみればそこまで意地になる必要も無い気がするものの、フォローする言葉も見つからない。 「……じゃ、始めるよ鈴音」 「う、うん……」 セナの汗ばんだ手に力が入る。まずは胸全体の筋肉をほぐすように広い範囲を。それから徐々に二つの膨らみを円を描くように揉みこんでいく。 「鈴音、大丈夫? 痛くない?」 何も言わない鈴音に不安になって、セナが尋ねる。 「平気。……ちょっと胸がジンジンして熱くなってるけど……痛くはないよ」 顔を上気させたまま鈴音が呟いた。セナは安心して再び手を動かす。小振りな鈴音の乳房はセナの掌にすっぽり収まる大きさだけど、しっとりと吸い付くような肌触りで気持ちいい。少し力を入れて揉むと、柔らかい中にほんの少し堅さが残る。乱暴にしないよう心がけながら、絞るように指の動きを変えた。 「あ……はぁ……やー」 鈴音の呼吸が、次第に甘い吐息に変わってくる。力を抜き、セナの胸に身体を預けてきた。 「す、鈴音!?」 「ん……大丈夫。続けて、セナ」 どこか夢見心地の表情でセナを見上げる。フルーツキャンディーのような甘い少女の香りに、ミルクに似た香りが混じり始めた。 「鈴音……なんだか……いい匂いがする」 セナの方も頭に血が昇ってきた。胸の鼓動が速まり、鼻息が荒くなる。少女の吐息にあてられ、我知らず両手の人差し指が、乳房の先端に伸びた。 「ひゃん!」 ビリッ、と胸の先端に走った刺激に鈴音が跳ねた。セナの指先に乳首を撫でられ、身体の奥がキュンと疼く。 「やぁ、せ、セナ。それ、マッサージと違う……」 「ハァ……ハァ……」 鈴音の制止も、もうセナの耳に入らない。最初は軽く乳首に触れるだけだったのが、指で押してみたりコロコロと転がしたり、もてあそびだす。 「やぁ、ん……セナ……だ、駄目ェ……くぅん!」 口では拒絶するものの、愛撫にとろけた身体は思うように動かない。ただセナにいじられるがまま子犬のような鳴き声を上げる。 「あぁ……セナ……おっぱい……おっぱい、気持ちいいよぉ」 「鈴音、ボクも……ボクも気持ちいい……」 セナの指が、少女の乳房を捏ね回す。それはもうマッサージではなく、女を求める荒々しい男の愛撫。 強く握り締められると乳房の奥に鈍い痛みが走るが、今の鈴音にはそれすら性的な刺激となっていた。 ジンジンと股の間が熱くなり、蜜がこぼれそうになる。 セナの手がセーラー服をたくし上げ、外気に乳房が晒された。 「やー!? セナ、は、恥ずかしい!」 「これが、鈴音のおっぱい……恥ずかしくないよ。変な意味じゃなくて、可愛い……」 セナの言う通り、小さいながらもツンと張りのある形のいい乳房。その先端はぷっくりと尖り、桃色に充血している。胸元にはうっすらと汗をかいて、照明にキラキラ反射していた。 「ふ、ふんだ。どうせ子供っぽい胸だもん」 「だから変な意味じゃないって。何ていうか……好きだよ、鈴音の胸」 「…………え?」 ドキンと鈴音の鼓動が高鳴る。セナの言う「好き」が“そういう意味”ではないと思っても、一度感じたドキドキは収まることなく、更に気持ちが昂ぶっていく。 「う、嘘。……だって、男の人って大きい胸が好きなんでしょ」 「大きい小さい関係なくさ、こうしてボクの手に収まって…心臓のドキドキが伝わってくる鈴音の胸…………うん。きっと、鈴音の胸だから好きなんだと思う」 再びセナの愛撫が始まる。胸の形に沿って優しく撫で、乳首を摘んだ。 「あぁん!……セナ……小さくてもいいの? 私の胸、小さくても好き?」 「うん、好き。……他の誰より、鈴音の胸が好き」 そのままキュッ、と乳首を捻ってやるとビクビクと鈴音の全身が震えた。 「あ、や、やー! ふああああんっ!!」 嬌声を上げて仰け反り、クテン、と全身が弛緩する。 「鈴音?……もしかして、いっちゃった?」 「はぁぁ……わかん、ない……これが、イクってことなの?」 瞳を潤ませ、鈴音がセナの腕にしがみつく。セナはもうこれ以上我慢出来なかった。 「す、鈴音……あのさ……」 ♪ちゃららりら〜〜 ♪ちゃっちゃっちゃらら〜〜 「うわっ!?」「キャアッ!?」 突然の電子音に二人とも瞬時に我に返った。音源は鈴音の携帯。 「は、はい!……あ、うん。いま泥門に来てるの」 友人かららしい電話に手短に答え、鈴音は携帯を切った。手早く身だしなみを整える。 「ごめん、セナ。用事が出来ちゃった」 「あ、ああ……うん。気にしないで」 毒気を抜かれた表情でセナは答えた。お預け喰らったショックに肩が落ち込んでいる。 「ほんとゴメン、セナ……あ、そうそう」 トイレから出ようとしたところで鈴音が振り向いた。 「明日もこの時間に……いい? 絶対、来・る・こ・と!」 それだけ言い残し、飛び出していく。 「……結局、マッサージは続けるのね」 一人残されたセナは、腰掛けたまま目の前のドアに呟いた。 「とりあえず……これからどうしよう」 股間に目を落とせば、ズボンを押し上げテントを張った自分のモノ。さすがにこのまま出歩けないが、かといって女子トイレに長居するのも危険だ。 「鈴音〜〜〜。帰ってきてくれないかな〜〜〜」 冷や汗を流しつつ愚息が収まるのを待ちつづけるセナであった。 |