花火が上がって神社の境内を一瞬だけパァっと明るくした。
 バラバラバラ、と燃えカスが落ちると一瞬の情緒だけを残して境内は元の色、
 出店の軒先に取りつけられた裸電球、その淡い橙色、に戻った。
 
 「セナ、わたがし好きだったよね、ほら、セナの分!」
 「あ、ありがとうまもり姉ちゃん……」
 浴衣姿のまもりから白いもこもこした飴をうけとる。
 セナが口をつけるより早く、まもりは自分の綿菓子にぱくつく。
 「ううん、わたがしってたまに食べるとおいしいのよね。シュークリームとは違って、ただ甘いだけなんだけどそのシンプルさが逆にいいっていうか……、 それになんといってもこの形、ふわふわもこもこっとしてなんとも……」
 (楽しそうだな……)
 セナは自分の綿菓子にとりかかりながら、横目でまもりの浴衣姿を盗み見る。
 無心に綿菓子を食べるまもりは、年上でありながら十分にかわいいと思う。
 (まもり姉ちゃんって甘いものを食べるときは無防備になるよなぁ……昔から)
 ふふ、と笑いながら綿菓子を一口含む。甘い。
 
 ひるるるるる、しゅぱっ。
 
 またひとつ花火が上がった。赤、緑、青、黄色、大きな花が夜空いっぱいに広がり、ふっ、と不意に消える。
 花火の消えた夜空を見上げているまもりの横顔は夏祭りの楽しさに浸っているのか微笑みを浮かべている。
 「わぁ…今の花火、綺麗だったね、セナ。」
 「う、うん……。」
 盗み見ていたところに急に話しかけられて驚いた。
 それにしてもまもりの浴衣姿は美しい。姿勢の良い立ち方、全体像がすらっ、としている。ぴん、と立ったエリから覗くうなじはあくまでも白く、その曲線は色っぽいのにいやらしさが無い。
 帯から下駄にいたるまで、まもりの着こなしは完璧であると言ってよい。
 「浴衣、おばさんが着付けてくれたの?」
 「あ、うん、そう。一人でもできないことはないんだけど…大変だし、やっぱりそっちの方が上手にできるしね。……この浴衣、新品なんだ。どう、似合ってる?」
 「うん!!………あ、にあ、似合ってるよ……その……すごく。」
 「あ、ありがと……」
 自分でも素直すぎる即答だった、と感じてセナの語尾は徐々に小さくなっていった。
 まもりも予想外の即答に少しびっくりして目を丸くした。
 
 花火大会も始まり、時間が経つにつれて人の数も多くなり、混雑してくる。
 「人多くなってきたねー。そろそろ…」
 まもりがそこまで言ったところで、どん、と後ろから押され、体勢がよろける。
 「きゃっ」
 「わっ」
 普段はきなれない下駄のせいもあり、うまく体勢を立て直せず、勢いセナにもたれかかる格好になる。
 
 がしっ
 
 とセナがまもりの肩をわしづかみにし、体を抱き止める。
 「…………!!」
 「…………!!」
 二人ともその体勢のまま硬直してしまった。
 (む、胸が、胸に、柔らかく、浴衣、はだけて、谷間、ああ、柔、浴衣が、いいにおいが、その)
 じろじろ見る周りの目に気付き、ばっ、と勢いよく離れる
 「……あ、ありがと……」
 まもりは顔を赤くして、浴衣のエリを直しながらお礼を言う。
 「いや、うん、大丈夫、大丈夫。」
 セナも顔を赤くして答える。今の感触と映像が脳裡にこびりついて離れない。
 (柔らかかった……肩も……胸も……それに……)
 はだけた胸の白さを思い出してさらに顔を赤くする。残像を消そうとぶんぶん頭を振り回すが、映像は鮮明にこそなれ、消えはしなかった。
 「……セナ。」
 「ひゃ、はい!」
 「ひ、人も多くなってきたし、そろそろ後ろいこっか?」
 「あ、うん、そ、そうだね。」
 花火は大会の後半、時間が経つにつれて派手なものになっていく。
 大方の人は境内の広場で花火を眺めるが、 セナとまもりの二人は神社の裏にも花火を見るのに良い場所があるのを知っていた。
 
 どん、ぱあ、ぱらぱらぱら
 いつもどおり、神社の裏には二人以外誰の姿もなかった。
 「いやあ、それにしても良い場所ね、ここ。」
 「うん…そうだね。」
 「セナはどうやってこの場所見つけたの?」
 縁側に腰掛けたふたりは、表の混雑とは無関係に花火をゆったり鑑賞していた。
 「あ、あ〜、それは、その〜」
 (いじめっ子から逃げてて見つけたとは……言えないなあ……)
 「?」
 冷や汗を流すセナを、まもりは無垢な目で見つめる。
 どん、どん、どん、どん、
 花火が続けざまに上がった。いくつもの華が夜空に浮かんでは消えていく。近くで見る花火の美麗さと儚さは、見る者に油断を許さないほどの感動を与える。
 花火が上がり、開いて、消えていく。ひとつが消えても、またあがり、続いて開き、消える。
 二人も黙ってその様子を見ていた。
 連花火が終わり、再び花火は単発であがるようになったが、ふたりとも口を開かない。
 気まずいような、心地よいような、ひっそりとした沈黙がそこにはあった。
 花火の音が等間隔で鳴り響いた。
 「……セナは、なんだか、逞しくなったよね。最近。さっきも…私を支えてくれたし。」
 まもりが沈黙を破り急に口を開いた。
 「そ、そうかな、……やっぱり、練習に参加したりしてるから、かな?」
 「うん、そうかもね…。私が『危ない練習はやめよう』って言っても、やるんだから。」
 「そ、そんなに危険なのはやってないよ。筋トレとかだけで……」
 (やるときはユニフォーム着てアイシールドしてやってるし)
 まもりは、ふふ、と微笑み
 「そうだっけ…、そうかもね…。でも、やっぱりセナも成長してるんだな、って。」
 「…そ、そうかな?」
 「うん、してるよ。アメフト部に入るのだって、私がやめなよ、って言ってもやめなかったし。なんて言うか……うん、自分の意思がしっかりしてきて、いいことだ!」
 「いや、そんなでも…」
 どん、どん、どん
 時間が経つにつれ花火も多くなり、夕闇は濃くなっていた。
 「そのうち、高校も卒業して、大学とか、専門学校とか、就職とか、結婚とかしたりして……、なんて言うか……もうすぐ、私の手を離れちゃう……ううん、ひょっとしたらもう、離れてるのかもしれないな、って。 ……ははは、何言ってるんだろ、私。」
 「まもり姉ちゃん……」
 ぼろ、ぼろぼろぼろ。
 急にまもりの目から涙が流れた。それは、本人にも、もちろんセナにとっても予想外で
 「わ、なになに、セナ、見ないで、ごめん。あはは、どうしたんだろ…。」
 浴衣の袖で涙を拭うまもりの姿をみて、セナは鼓動が速くなるのを感じた。
 心臓がわしづかみにされた感じで、練習でタックルを食らうより痛い。段違いに痛い。
 「へへ、ごめんね、なんか……。」
 泣きながら笑顔をむけるまもりのその表情に、セナの感情は明白で簡潔だった。
 
 愛しい。
 この人が、好きだ。
 
 「まもり姉ちゃん。」
 ぎゅっ、と涙を拭う手を掴む。
 「好きだ。」
 まもりの目が大きく開き、涙が止まる。
 「その、うまく言えないんだけど、僕がいくら成長しても、たとえいくら変わったとしても、僕はまもり姉ちゃんが好きだよ。手を離れたとしても、また掴んで、もう離さないから、なんだ、その、ええと、これからも、よろしくお願いします?ちがうか、ううん……」
 最初はキリっ、としてかっこいい顔をしてたのに、言葉をつなげようとして、どんどん悩み顔になっていってしまった。
 その様子も、まもりにはたまらなく愛しく感じられて
 「うん……、私も……好きだよ。セナのこと。」
 自分の素直な気持ちを言葉にする。
 はっ、と顔を上げたセナに、まもりが勢いよく口づけする。
 「むぐっ……」
 急に口をふさがれたセナは、一瞬何がなんだか分からず混乱するが、状況を理解すると
 すぐに局部に熱が集まり、それが勃起するのを感じた。
 「……はぁっ」
 まもりは一度息継ぎをして、再びセナの唇を貪りにかかる。
 「んむ……」
 まもりは何度も口を開け閉めして、セナの唇を味わう。唾液を吸い取り飲み込むと、体温が上がり、興奮してくるのが自分でも分かった。
 (まもり姉ちゃんの唇……よく動く……柔らかい……髪の毛……いいにおい)
 「……っはあ……。」
 まもりは乱れた髪を直しながら、ゆっくり目を開ける。
 「……急に、ごめんね。」
 「……っまもり姉ちゃんっ!」
 がばあ、とまもりの体を押し倒し覆いかぶさる。
 「痛ッ」
 まもりの声でハッ、と目を覚ましたセナは
 「あ、ご、ごめん」
 と素直に謝る。
 「……もう、ばか。……やさしくしよう、ね。」
 と上に両手を伸ばすまもりに、セナは思い切り抱きつくと、心地いい香りが鼻腔をくすぐった。
 
 どん、どん、ぱぁっ。
 花火があがって、消えた。
 
 「……そう、そこ、やさしく、さわって、………んっ」
 ぴくん、と体が震えた。つい五分前まで着ていた浴衣はいまや、むき出しの肌を守る敷物になってしまった。
 どん、ぱあ。
 出店の明かりの届かない裏側は、夕闇が完全な夜になり、すっかり暗く、花火があがるときだけ、まもりの一糸まとわぬ姿がセナの目に映った。
 何秒かに一度わかるまもりの姿は、かえってセナを興奮させた。
 その短い時間と手のひらの感触だけでも、まもりの身体が美しいものであるのは分かった。
 目で見えない分は触角で補おうと、まもりの身体を何度もさする。
 「あ……うんっ……はぁっ……」
 優しくさわられると、ぞくぞくして、つい声が漏れてしまう。
 「ね……、もう、いい……、よ。」
 耳元で囁かれて、セナの背中がぞわっ、とした。
 いそいそとベルトをはずし、ハーフパンツとトランクスを一度に下ろす。
 圧力から開放されたペニスが直立する。
 どん、ぱあ。
 花火が上がり、セナの姿を明るく照らした。
 「……!!」
 一瞬見えたセナの姿に、まもりは絶句する。
 (セナの……あんな……!?)
 「……あ、あの、まもり姉ちゃん……。」
 「な、なに!?」
 「……これから、どうすれば、いいの?」
 一瞬後、ふ、と息が漏れ、まもりは苦笑してしまうが、なんだかほっとする。
 「うん、あのね……もう、その……ぬ、れてる、から……」
 そこまで言って自分で恥ずかしくなってしまうが、セナをリードしなければならない。
 「ゆっくり……入れて……そう、そこ……うぅんっ……」
 少し先端を入れただけで、まもりは大きくよがる。
 「だ、大丈夫?……やっぱりやめようか?」
 セナの問いに、まもりはふるふると首を左右に振る。
 「大丈夫……そのまま……ゆっくり……あ、んんっ」
 「……痛い?」
 「ううん……痛いけど……セナのだから……気もちイイ……」
 まもりの気丈なセリフに、我を忘れて腰を動かしたくもになるが、ぐっと抑えて
 「少し、このままでいようか?」
 まもりはこくこくとうなずく。
 どん、ぱあ。どん、ぱあ。
 動きを止めたままでいる間に、何度か花火が上がるが、二人ともそれを見る余裕は無い。
 (熱い、と最初おもったけど……熱いって言うより……あったかい……凄く、柔らかいし)
 (硬い……痛いけど……でも……だんだん慣れて……)
 「セナ……、動いて……いいよ……。」
 「…うん……。」
 ゆっくりと、動かし始める
 「ああっ……ああっ……はああっ……」
 動くたびに、声というよりは吐息に近い、切ない声がまもりの口から漏れる。
 「少し、早くするよ。」
 「ぅうんっ……い、いい…、よ……」
 「あっあっあっぁっあっあっあっ……ああっ……」
 速くなった動きにあわせて、まもりからも同じように吐息が漏れる。
 その声にさらに興奮を高めたセナは、激しく腰をまもりに打ち付けるように動かす。
 「ああっあっあっあっあぁうっああっああああああああああああっっっ……」
 まもりがぎセナの背中に腕を回してぎゅっ、と抱きしめるとそれと同時にセナは果てた。
 
 どかん。
 尺玉が大きくあがった。
 
 「あ…・・・セナ……中で…・・・出し、ちゃった……?」
 「う、うん……その、ごめん。」
 「…………もう。」
 まもりはそれだけ言って、強くセナを抱きしめた。
 だんだん、ぱらぱらぱら。
 尺玉の余韻が残る中で、小さな花火がいくつか上がって、消えた。
 
 「もう、浴衣って、一人で着るの大変なんだから。」
 「うう、ごめん。」
 「……セナ、これからも、よろしく、ね。」
 「う、うん!……よろしくついでに頼みごとがあるんだけど……」
 「ん、なに?」
 「いやあの、帯を引っ張って『あ〜れ〜』てのを今度一回やってみたいなぁ……なーんて」
 「……だ・め・で・す。」
 「……だよね。」
 「…………もう、ばか。」

 



 
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