ラスベガスの煌くネオンを遥か下に眺め、
 デビルバッツのメンバーは特訓の成功をとカジノでの大勝を祝って宴会をしていた。
 
 「最初は、アメリカ大陸横断なんて、できるかどうか不安だったけど・・・」
 「ほんとに、みんな頑張ってたよね。」
 ふわっ、とセナの鼻にいい香りがふりかかる。
 「あ、まもり姉ちゃん。」
 「セナも、いろいろお疲れ様。」
 「うん、ほんと、石蹴り大変だったよ・・・。」
 「石?」
 ぶどぅは!
 飲んでいたオレンジジュースが勢いよく吹き出た。
 「ああ!いやいや!!石…石…石丸さんも陸上部の練習大変だっただろうな、って」
 「?そうね?石丸くんね。」
 「ううううん、主務の仕事も、たたたたた大変だったよ。」
 「どうしたのセナ?汗いっぱいかいてるけど・・・クーラー効いてない?」
 「いやいやいや、大丈夫、大丈夫。」
 「そう?ならいいけど…」
 「(話を逸らさないと…)それにしても・・・栗田さんと小結君は・・・。」
 視線の先には奪い合うように料理を食べる二人の姿があった。
 「食べぬらばっ」
 「ご、ごちそう!」
 小山ほどあった料理はみるみる減っていく。
 「・・・くそっ俺らの食べる分がねえじゃねえか。」
 黒木、戸叶、十文字がとなりでつぶやく。
 「ケケケ、弱肉強食ってヤツだ。自分の分は自分で取れよ。」
 自分の皿に肉をたっぷり盛ったヒル魔が三人をからかう。
 「アハーハー!この料理最高にデリシャスだよモンキー太君」
 「モ・ン・太!ジョー・モンタナのモン太!」
 無駄に動きながら瀧がモン太に料理を勧める。
 「・・・なんかあの二人は仲良くなってるし。・・・あれ、そういえば鈴音はどこいったんだろ?」
 きょろきょろと見回すが鈴音の姿は見えない。かわりにまもりが答える
 「あ、今、追加の料理とかをとりに行ってもらってるの。みんなまだ足りなさそうでしょ?」
 「やー!追加の料理と飲み物だよー!!」
 両手いっぱいに料理を抱えた鈴音が勢いよく部屋に入ってきた。
 新しい料理と飲み物が全員にいきわたる。
 「じゃあ、改めて…」
 「「「かんぱーい!!!」」」
 それぞれぐいーっと飲み干す。セナの舌が異変を感じる。
 「!?鈴音!?これ、お酒じゃないの!?」
 言うセナの顔がすでに赤い。
 「え、ほんと?・・・あ、ほんとだ。やー、ちょっと間違えてもってきちゃったみたい。 みんなー、飲み物の中にお酒が混ざってるから気をつけて・・・って」
 そこに広がる光景は、全滅というか、死屍累々と言うか、兵どもが夢の後と言うか、
 簡単に言うと、もう手遅れだった。
 「ぐうぬらば・・・zzz」
 「で、できすい・・・zzz」
 栗田が鼻ちょうちんを作って寝ている隣で、小結が顔を真っ赤にして寝ていた。
 その顔は小結の父親が潰れたときにそっくりだったのだが、それを知るものはそこにはいない。
 「ぐう」
 「ぐうぅ?」
 「ぐうううううううぅぅぅぅ!?」
 黒木たち三人もさっさと潰れてしまっている。
 「やー、こいつら不良のくせに酒飲めないのね・・・。」
 「鈴音、他人事みたいに・・・。そうだ!ヒル魔さんは?あの人なら・・・」
 振り向いた先には椅子に座ってあくまでスタイリッシュに寝ているヒル魔の姿があった。
 「あれ(なんか変な…)?あのー・・・」
 声をかけようとした瞬間、セナの身体を恐ろしい何かが通り抜けた。
 (な、なに今の・・・?さ、殺気?)
 意思とは関係なく背中を嫌な汗がたらりと流れる。
 (起こすのはやめとこう・・・)
 元パシリの第六感がセナに何かを告げたようだ。
 「アハーハー…!」
 「瀧さんは平気だ!・・・ったんですか・・・って・・・」
 そこでは瀧とモン太が寝ながらからみ合っていた。
 「アハーハー!僕大活躍!!毎試合100得点!・・・zzz」
 いちいちビシィ!バシィ!とポージングが入る。
 「ま、まもりさん、俺は…俺は…バナナ…zzz」
 それぞれ好き勝手な夢を見ているようだった。
 (ここも放っておこう・・・)
 「・・・う、うーん、未成年の飲酒は脳の成長に・・・zzz」
 (雪さんも寝てる・・・。なんか心なしかほかの人より苦しそうだな・・・)
 部屋を見渡してセナがあることに気付く
 「あれ、そう言えばまもり姉ちゃんがいない・・・?鈴音ぁ、まもり姉ちゃん知らない?」
 声をかけられた鈴音は返事もせず部屋の隅をじっと見ている。
 広い部屋の隅っこには電気の光も届かず、暗がりになっている。
 「鈴音?」
 二回目の呼びかけで鈴音がぷるぷる震えながら振り返り、部屋の角を指差す。
 「ん?鈴音?そんなところに何・・・」
 セナが絶句する。
 暗がりの中心にはまもりが絨毯の上に直接座っていて、右手にはしっかりとグラスが握られている。
 そしてその周りには無数の空のグラスが散乱している。
 飲み物…酒が配られてから十分も経っていないうちにこれだけ飲んだのだろうか。
 「ま、まもり…姉ちゃん?」
 セナがおどおど声をかけると、暗がりでごくっごくっと喉がなる。そのあとに
 「ん・・・セナぁ・・・?」
 ゆっくりとまもりが振り返る…が、いつものまもりとは明らかに様子が違った。
 (ひいぃ、まもり姉ちゃんの目が、目が座ってる!)
 「ああ、なによぉ、また二人一緒にいるぅ・・・。」
 と言ってじりじりと近づいてくる。
 「鈴音?」
 「うん?」
 「この状況から推測できる結論は?」
 「やー、まも姐様ってお酒飲めたのね…。やっぱり外人の血が入ってるからかしら…。」
 「うん、そうだね。」
 「まも姐様、かなり酔ってるみたい・・・しかも、かなり悪いほうに。」
 「うん、そうだね。」
 「こういうときは・・・」
 「こ、こういうときは?」
 「酒飲んで先に寝ちゃうに限る!てわけであとよろしく!!」
 「え!?」
 横にあったグラスをぐいーと空けてぱったりと倒れる。
 「ああ鈴音!ちょ、大丈夫!?」
 「・・・・・・・やー、じゃなくて・・・ぐー・・・。」
 「ってもう寝てるしー!!!うわ、幸せそうな顔・・・。」
 「セナぁ?ちょっとぉ・・・ほら、セナも飲も?」
 まもりがセナの肩に腕を回し、ぐいっと身体を引き寄せる。
 (わ…まもり姉ちゃん、酒臭い…)
 「ま、まもり姉ちゃん?とりあえず、部屋に戻ろうよ…。」
 「・・・・・・。」
 「まもり姉ちゃん?」
 「・・・zzz」
 「寝てるし。」
 (ふぅっ・・・ここに寝かせるわけにはいかないよな・・・。)
 部屋を見渡して出た結論は当然のものだった。
 (まもり姉ちゃんの部屋は・・・鍵ないし・・・仕方ないか・・・)
 「まもり姉ちゃん、とりあえず僕の部屋に行くよ?」
 「・・・ん」
 手を肩に回されたその体勢のまま立ち上がり、まもりを担いで歩き出す。
 (それにしても、僕がまもり姉ちゃんの世話するなんて・・・変な感じ)
 ひとり思ってぷっ、と笑う。
 セナたちが出てゆき、バタン、と音を立てて扉が閉まった。
 少し経って、閉じられていた二人のまぶたが開き、あわせて四つの瞳がキュピーンと光った。
 
 「ふぅっ…と。」
 自分の部屋までまもりをつれてきたセナは、ベッドにまもりを寝かせ一息ついた。
 「やれやれ、それにしても、まもり姉ちゃんって結構酒乱だったんだ・・・。」
 ずるずるとベッドの横に座り込み、側面にもたれかかる。
 (さて…じゃあ床で寝ようかな。絨毯ひいてあってよかった…。ま、それでもトラックの荷台よりはましか…。)
 セナが床で寝ようかと覚悟を決めたとき後ろでもぞもぞと動く音がした。
 「ん・・・。」
 「あ、まもり姉ちゃん、起きたなら水を・・・って、!」
 ベッドの上で身体を起こしたまもりが上着を脱ぎ始めていた。
 上着を胸あたりまで脱ぎ、暗い部屋の中でも白いブラジャーがしっかり目に映った。
 「わー!わー!わー!」
 慌てて手を押さえる。
 「・・・あれ?何でセナが私の部屋に・・・」
 「いやここ僕の部屋ね」
 「んん…?」
 頭に手をやって考える。
 「・・・・・・・・・ぐぅ。」
 「寝てるし。」
 自分が見た事を悟られずにすんだようで、セナは内心胸をなでおろした。
 (ふぅ、びっくりした…。)
 顔が赤くなっているのが自分でも分かる。鼓動が速くなって治まらない。
 (きれいだったな・・・。)
 「・・・・・・セ、セナ!い、今、見た?」
 油断したところにまもりが急に目を覚ました。
 「みっ、見て、見てない見てない見てない!」
 ぶんぶんぶんと赤い顔を必死で左右に振る。大嘘である。見た。しっかり見た。
 「そう・・・」
 (ほっ・・・酔いも冷めたのかな・・・?)
 「じゃあ・・・」
 「じゃあ?」
 「じゃあ・・・見せてあげるから、よく見て!・・・えいっ」
 というと、素早く上着のすそを持ち上げ、セナに頭からかぶせる。
 「!?」
 急に視界が変わり、セナは軽くパニックに陥る
 (何ッ!?今、まもり姉ちゃん、何て!?暗ッ!?柔ッ!?柔?柔ッ…?やわーーーーーーーー!!!)
 先ほどチラッと見えた白いブラと二つのふくらみが目の前にあるのが確認され、重いパニックに陥る。
 荒い鼻息が素肌に直接かかる。
 「あっ…」
 ぴく、と身体が反応した。
 まもりは服の上からセナの後頭部のあたりを優しくなでて、かいぐり、かいぐり、する。
 なでる手にあわせて中でセナの顔が胸に押し付けられる。
 「ま、」
 ぱふっ
 「まもっ」
 ぱふっ
 「まもり、」
 ぱふっ
 「うん、なーにぃ・・・?」
 とろん、とした目でセナの頭をなで続ける。
 「ま、まもり姉ちゃん!!」
 手を振り解き何とか頭を服から抜く。柔らかな感触が顔全体に残っている。
 「んー?セナ、私のおっぱいどうだった?」
 「やわ・・・じゃなくて!ほら、まもり姉ちゃん酔っ払ってるみたいだから、ね、水飲もう、水。」
 と言ってなだめると、まもりの目に見る見る涙がたまっていき、あふれる。
 まもりは両手で顔を隠し、ぐす、ぐす、と泣き出してしまった。
 焦ったのは目の前で泣き出されてしまったセナである。
 続けざまに起きる異常事態に何がなんだかわからなくなってきた。
 「な、なに、どうしたの?ねえ、まもり姉ちゃん?」
 急に泣き出した原因を何とか聞きだそうとする。
 「セナ・・・」
 「ん、なに?」
 「セナは・・・」
 「ぼ、僕は?」
 「セナは・・・セナは私のことが嫌いなんだわ・・・そうよぉ・・・そうなのよぅ・・・」
 「?な、何の話?」
 セナが聞き返すとまもりは上を向いてわんわん泣き出してしまった。
 (ひ〜〜〜!ひょっとして、まもり姉ちゃん、泣き上戸ってヤツ?と、とにかく落ち着かせないと…)
 ものすごい素早さで冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルをとり、ベッドの上に座りなおす。
 「光速の世界・・・!」何故か日本最強のラインバッカーの幻聴が聞こえた。
 封を開け、まもりに渡す。やけに軽くあいた気がした。
 「ほら、まもり姉ちゃん、水だよ。」
 「……ありがと……」
 ごくっ、ごく、ごくっとペットボトルを傾ける。
 「・・・はい・・・」
 涙を手で拭きながらセナに返す。
 (ふぅ…これで少し落ち着いてくれればいいけど…あれ)
 渡されたペットボトルにまだ水が残っていることに気付き
 (間接キスになるけど・・・飲んじゃえ)
 小さい頃から一緒にいたので、間接キスくらいは何度もしたことがあった。
 ペットボトルに口をつける瞬間、服の中の光景と柔らかさがフラッシュバックした。
 (まもり姉ちゃんと…間接キス…)
 ごくっ・・・と残っていた水を飲み干すと
 「んんんんんんんんん!?これ!お酒・・・・!なに!?なんで!?」
 ペットボトルを確かめるが、間違いなく水のボトルである。
 「なんでー…?・・・って言うか・・・」
 おそるおそる視線を上げ、まもりの様子を確かめる。
 「・・・セナ?」
 どうやら涙は止まったようである。
 (あ、泣いてない!よかったー…)
 まもりはゆっくりセナのシャツの胸元をつかむ。
 「な、なに?」
 白く美しい指に胸元をつかまれ、心臓がどきっとした。
 「なんで…なんでもうあんなに鈴音ちゃんと仲良くなってるのよ!何!?いつの間にか荷台から降りてて、いなくなったと思ったらかわいい女の子と二人っきりで戻ってくるなんて!! 私がどれだけ心配したか・・・!そうよ、さっきだって一緒にいたし・・・セナの、浮気者ーーーー!!!」
 ぎゅっと目を瞑り、ガクガクとセナを前後に振りながら一気にまくし立てる。
 顔はアルコールと怒りで真っ赤になっている。
 それにしてもセナと鈴音は二人きりでなく夏彦と三人で帰ってきたのだが・・・、
 まもりの目には映ってなかったようだ。
 「わわわわ、ま、待って、待って、何の、話だか・・・!」
 「話を逸らさないで!」
 まもりが強い口調でセナを詰問する。
 (ひ〜〜〜〜!次は怒り上戸!?)
 「ねえ、鈴音ちゃんと何があったの!?答えて!」
 答えようにも頭がシェイクされ続けるこの状況では何も言えない。
 「待、その、とりあえず、待って…」
 「答えられないの!?っこの・・・!」
 ばちーん
 いい音がした。まもりの右手が渾身の力でセナの右ほほを張った。
 セナの目に星が浮かんでいる。
 「・・・っ。」
 数瞬後、まもりが青ざめてセナのほほに手を当てる。今度はやさしく。
 「ご、ごめん!セナ!!大丈夫!?ごめん、痛かったよね!?ごめん!!」
 自分が張ったほほを優しくさする。赤い手形がきれいに残っている。
 「・・・・・・。」
 痛みとショックでセナはまだ何がなんだか分かっていない。
 「はっ」
 「セナ!?気がついた?大丈夫?」
 「思い出した…これが痛い…『痛い』だ!」
 「?何言ってるの…?…あーん、セナが壊れたー!」
 「…はっ、…どうしたの?まもり姉ちゃん?」
 「セナ!よかったぁ、大丈夫ね?」
 「う、うん。大丈夫、大丈夫。」
 「よかった・・・ほんとに、痛くなかった・・・?」
 左手も頬にあて、両手でセナを挟むかたちになる
 「うん、大丈夫だよ。あの・・・まもり姉ちゃん、その・・・」
 両手でほっぺたを挟まれて、かなり至近距離にまもりの顔がある。だんだん鼓動が早くなっていく。
 頬が熱くなっていくのがまもりにばれないか心配だった。セナもまもりの手の上から手を当てる。
 「痛くないのね…よかった…」
 ほお、とため息をついて下を向く。そして
 「くっくっくっ…」
 「まもり姉ちゃん?」
 「あはははははははは、よかった、よかった!あはは、よかったよおおおおお!」
 (あーーーーーーーなんとなくそんな気がしてたけどやっぱり笑い上戸も出たー!)
 最高の笑顔になって顔が上がった。
 「うふふふ、ふふ。」
 にこにこしている。
 (でも、泣かれたり怒られたりするよりよっぽどいいな・・・。)
 セナは少し冷静になって
 (あれ・・・でもそういえばなんであんなに泣いたり怒ったりしたんだっけ・・・?)
 まもりがいまだかつて無いほど泣き、怒った原因を考える。
 (ええと…)
 おぼろげな記憶をすり合わせて推測する。
 (確か…「セナは私のことが嫌いなんだわ・・・」とか・・・ん?)
 (「なによぉ、また二人一緒にいるぅ・・・。」とか・・・んん?)
 (「セナの、浮気者ーーーー!!!」とかって・・・んんん?)
 推測して出た結論に、顔がかぁっ、と熱くなる。
 (まもり姉ちゃん、僕のこと・・・?)
 ぱっと前を見ると、笑顔のまもりと目があう。
 (やっぱり笑顔が一番いいな…。)
 ぼっ、と顔が赤くなるのが自分でも分かる。
 まもりの唇の端がにこっ、と釣りあがり、歯並びの良いきれいな白い歯が見える。
 「・・・セナ、好きよ・・・」
 とつぶやいて目を閉じ、ゆっくり顔を近づける。
 「ま、まもりね…」
 何か言おうとしたセナの唇は、まもりの柔らかな唇によってふさがれた。
 (…やわ…らか…い)
 鼻腔をいい香りがくすぐった
 (まもり姉ちゃんのにおいだ…)
 小さなときからいつもかいできた匂い。セナの緊張を溶かし、ふっ、と安心させた。
 近づいたときと同じように、ゆっくりとまもりは顔を離す。
 「・・・えへへ、セナのファーストキス、うばっちゃった。・・・でも、私もだから・・・ね。」
 と言ってにこっ、と笑顔になる。
 セナは胸が鷲づかみにされたような感覚に襲われた。
 (まもり姉ちゃん・・・!)
 手を離し、肩をつかむ。
 「・・・僕も、まもり姉ちゃんが、大好きだからその、とにかく…、好きです。大好きです。」
 セナはいつもは頼りないのだが、たまに、ごく稀に、とても凛々しい顔になり、
 そんなときのセナはとてもカッコいいことを、まもりは良く知っていて、今その顔が見られたので、
 とても嬉しくなった。
 「セナぁ…!…んっ」
 勢いよく顔を近づけ唇を合わせる。今度は初めてののキスに比べて激しい。
 (…!舌が)
 口の中にまもりの舌が滑り込んできた。おずおずとそれに応える。
 口内で二人の舌が出会う。二人共に電流が流れたようになる。
 電流の正体は大きすぎる快感で、二人の理性は段々消えていく。
 二人の舌も歯も、表も裏も、快感に任せてそのあたりのあらゆるところが舐められた。
 はむっ
 まもりの唇がセナの上唇を挟んだ。背中がぞくっとする。
 はむはむっ
 まもりの唇がセナの下唇を挟んだ。背中がぞくぞくっとする。
 そしてもう一度真正面から唇がぶつかり、舌が入ってくる。まもりが口を良く動かしたせいか、唾液が多く分泌され、それがセナの口の中に入ってくる。
 (あ・・・この味・・・)
 いつものまもりの匂いがした。
 (ああ・・・今、まもり姉ちゃんとキスしてるんだ・・・)
 快感の中で、現実の認識することも、快感だった。
 まもりは唇をゆっくりと離すと、二人の間に銀色の糸がつぅ、と伸び、惜しむように消えていった。
 
 まもりが勢いよく上着を脱ぐ。今度はセナも止めない。
 続けてスカートのホックをはずし、足を抜くこうとするが、
 ぼふっ
 「きゃっ」
 バランスを崩し後ろに倒れてしまった。
 セナの目の前に白いパンツに包まれたまるいおしりが現れる。
 そのままスカートを脱ぎ捨て、起き上がる。
 「…。」
 黙ったまま後ろに手を回し、ブラのホックをはずす。
 右腕から抜き、左腕もぬくと、ぽい、とテーブルの上に投げた。
 白い二つの乳房があらわになった。大きさはそれほどでもないが、きれいな丸い形で、
 その形と肩から腰にかけてのくびれたプロポーションは、ミロのヴィーナスをセナに思い出させた。
 「…。」
 セナの意識は二つの胸とその中心に釘付けになる。
 (Cカップ…くらい?なのかな…わかんないや)
 まもりはセナのシャツを脱がしにかかり、ボタンを一つ一つはずす。
 ボタンがひとつ外れるたびに、ぷるん、とゆれる乳房をセナは凝視し続けた。
 シャツを脱がせ終わると、次はズボンを脱がそうとまもりの手が下に伸びてきた。
 「わ、いい、いい!自分で脱ぐから!自分で!!」
 「そう…?」
 残念そうにまもりが言う。
 (自分で…?)
 今、憧れの女性とファーストキスを済ませ、その女性がほとんど全裸で自分の前に座っているのだ。
 当然のことながら、セナのセナは、
 元気満々と言うか、青年の主張コンクールと言うか、大黒柱と言うか、
 分かりやすく言うと、完全に勃起していた。
 (自分で脱いでこの状況をまもり姉ちゃんにさらすの…?)
 一瞬ためらうが、覚悟を決めてズボンを脱ぐ。
 セナのトランクスがテントを張っていた。
 「!」
 目を見開いて驚くまもりの視線が集中して、すごく恥ずかしくなった。
 「あ、いや、違、っていうかその…。ぃっ!」
 トランクスの上からまもりの手がセナのセナを握っていた。
 「ま、まもり姉ちゃ…!」
 「熱いのね…凄く…硬いし…。」
 冷静に(?)分析するまもり。
 男子最大の急所であり、ある意味本体とも言える部位をつかまれてセナは身動きが取れない。
 「…セナ、これって…勃起、してるの?」
 (!?)
 まもりの口から「勃起」なんて言葉が出てこようとは。
 セナは驚いて一瞬固まってしまった。
 「して…るの?」
 こくり、と恥ずかしそうにうなずく。
 「そっか…あのね!?保健体育の教科書に 『男性は性的に興奮するとペニスが充血し勃起する』って書いてあったから…。セナも、興奮してる。ってことだよ…ね?」
 「…うん…、興奮…してる…。」
 真っ赤になって再びうなずく。
 初めてのくせに言葉責めを使うとは、まもりもなかなかの才能である。
 「私も…。」
 セナのセナから指を離し、自分のショーツを脱ぎ、ベッドの上にひざ立ちになる。
 「私も…興奮して…、濡れて…るの。」
 ごくっ、とセナが生唾を飲む。音がまもりに聞こえないか不安だった。
 目の前に全裸のまもりがいる。夢じゃない。
 柔らかい髪。端正な顔。白い肌。丸い胸。くびれた腰。
 恥毛。
 白い太ももには、青い静脈が見えて、それはセナをますます興奮させた。
 「ほら…触ってみて…?」
 ゆっくりとセナは手を伸ばし、そっ、と触れる。
 「…あっ」
 触れた瞬間、まもりから切ない声が漏れた。
 (ほんとだ…濡れてる…あったかい…)
 少し指を動かしてみる。
 「んっ…」
 まもりが身をよじる。
 「セナ…」
 まもりが濡れた瞳で身体を近づけてくる。
 セナに抱きつき、そのまま押し倒す。
 まもりの胸が直接あたる。
 (柔らかい…。胸も、おなかも、腕も…女の人って、こういう感じなんだ…)
 ずるっ
 (ん?)
 まもりがセナのトランクスを下ろしていた。
 束縛から解放されたセナのセナは「やぁ」と言って、
 天に向かって気をつけしている。
 「…。」
 「…。」
 二人とも言葉を失う。
 「…セナ…これ…?」
 どういう質問かよく分からない質問がされる。
 こくり、とこれもどういう返事か分からない返事がされる。
 「昔は…もっとかわいかったのに…」
 まもりは昔ビニールプールでみたモノとの違いに驚愕している。
 「いつのまに…こんな立派に…」
 セナのセナは実は一般成人男子の標準よりも少し小さめだったのだが、 他のモノを知らないまもりにとっては充分に「立派」だった。
 立派と言われたセナは、少し嬉しかった。
 腰を浮かせ、馬乗り寸前の体勢になる。
 「セナ…」
 右手でセナのセナをつかみ、自分の入り口に誘導する。
 「まもり姉ちゃん…」
 一気にぐっ、と腰を落として、セナのセナを自分に入れる。
 「ぐぅっ…!」
 まもりの口から声が漏れる
 「…だ、大丈夫?痛い?」
 初めて男性器を受け入れるまもりを気遣うが、まもりはふるふるっと首を左右に動かす。
 「痛いけど…でも…気もちイィ…!」
 涙目のまもりが切なげに答える。
 (まもり姉ちゃん…!)
 両手でまもりの腰のあたり―――と言うよりは尻―――をつかんで身体を支える。
 (まもり姉ちゃんの中…熱くて…柔らかくて…すごく…)
 腰が勝手に動きそうになるが、理性で止める。
 (す、少しでも動いたら…もう…出ちゃいそう…)
 「うんっ…はぁっ…」
 まもりの吐息が切なくて、セナの興奮を加速させる。
 「セナ…動く、ね?」
 痛みと快感のバランスが逆転し、快感のほうが強くなったので、
 まもりは自分から腰を動かし始めた。
 快感の波がさらにセナのセナを襲う。
 (んんんんんんんんんんっ…すご…我慢…!我慢…!!)
 「あっ…ああっ…」
 腰の動きにあわせてまもりが喘ぐ。
 セナは両手を尻から胸に伸ばし、乳首を攻撃する。
 「ゃあぁっ…」
 「ごっ、ごめ、痛かった?」
 まもりはぷるぷると首をふって
 「…違うの…もっと…もっと…して…」
 と呟いた。
 そのセリフでセナは胸への攻撃の手を強める。
 胸を大きくもみしだき、指で乳首を転がす。
 「…はっ…はぁっ…はぁあ…」
 まもりの口から熱のこもった息が漏れる。快感が高まってゆく。
 下になっているセナに抱きつき密着する。
 「セナ…あたし…もう…もう…」
 「まもり姉ちゃん…僕もっ…」
 まもりの腰の動きが早くなる。
 「セナ…セナぁ…」
 「ま、まもり姉ちゃん…」
 意識したのか、偶然か、セナがまもりの耳に息を吹きかけるのと、
 腰を突き上げたのが同時になり、瞬間、電流のような快感が二人をつらぬき、
 二人同時に絶頂に達する。
 「はっ、ぁぁぁぁあああああああああぁっんんん……!!」
 どくどくっ、とセナの精液が流れ込み、セナは大きく息をついた。
 「…っ、ふうぅ…」
 ちゅ、と目の前の額にキスをした
 「ねぇセナ…私…嬉しい…」
 「…うん、僕も…」
 そのままふたりはまどろんで、眠りに落ちていった。
 …扉の向こうの瞳に気付かないまま…。
 
 翌朝、朝食のバイキングではヒル魔がセナに話しかけてきた。笑顔である。
 「やぁセナ君!!実に気持ちのいい朝だねぇ!」
 「お、おはようございます…(なに、この口調…?)。」
 「ゆうべは おたのしみでしたね?」
 さーーーーーーーっと顔から血の気が引いてゆく。
 「ななな、何の話ですか?(ヒ、ヒル魔さんも寝てたよな?)」
 しらんふりをしようとするが、手は震え、目玉焼きにだぼだぼソースをかけ続けている。
 「いやー、君のおかげでイイ画がとれたよ。みるかい?」
 と言ってビデオカメラを差し出してくる。液晶部分に動画が流れている。
 (…?なに?画面が暗くて…。)
 「『熱いのね…凄く…硬いし…。』」
 (んん?このセリフは…)
 「『…セナ、これって…勃起、してるの?』」
 (!!!!!!!!)
 暗いながらもそこに映っているのは確かに昨日のまもりとセナである。
 「ヒ、ヒル魔さん!?」
 と、そこに
 「やー!セナ、おっはよー!!」
 「鈴音!」
 (カ、カメラ隠さないと!)
 セナは慌ててカメラを身体の後ろへやる。
 「セナ…、ゆうべは おたのしみでしたね?」
 (…なんで鈴音も知ってんのォ!?)
 涙目でヒル魔をにらむ。
 「あー、安心しろ。知ってんのは今んとこ俺とこいつだけだ。」
 (ってことは・・・?)
 「というか、昨日の一件は全部こいつの発案だ。」
 と言って鈴音を指差す。
 「やー…まさかあんなにうまくいくとは…。」
 セナは何がなんだか分からない。口をあけたままポカーンとしている。
 「ま、これで俺は脅迫ネタがひとつ増えたし。あの糞マネがなっかなか隙をつくりやがらねぇ。」
 「あたしは面白いものが見れたし。…セナも、嬉しいでしょ?まも姐様と結ばれて。」
 がくん、と首が下がってうなずく。
 「大団円、ってヤツだ。ケケケ、よかったな。」
 「めでたし、めでたし。と。」
 二人は満足そうに部屋を出て行った。セナはまだ意識が飛んでいた。
 
 「あ…セナ…おはよう。」
 代わりにまもりがやってきた。
 「…はっ、ま、まもり姉ちゃん!今、ヒル魔さん達に会った!?」
 「うん?会ったけど、どうかした?」
 (まもり姉ちゃんは見せられてないのか…、よかった…。)
 ほっと胸をなでおろす。
 「……。」
 「……。」
 二人は見つめあったまま固まる。昨日のことが思い出されて顔を二人ともを真っ赤にしてうつむく。
 「わ、わたし、料理とってくるね!?」
 「う、うん…。」
 小走りで料理を取りに行ったまもりのうしろ姿を見て、
 (…これって…大団円、なのかな…?)
 と考えながらしょっぱい目玉焼きを口に運んだ。
 
 ラスベガスの朝は、どこまでも青空だった。

 



 
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