がたん、ごとん。
電車が揺れる音と比例して、まもりの鼓動が高まる。
その音が聞こえないよう、ぎゅっと鞄を胸に押し付け、
赤くなった顔が見られないように、下を向く。
「………つーワケだ。………聞いてんのか、糞マネ」
いつもの、冷酷な悪魔の声がまもりの耳に届く。
同時に、吐息が首筋をくすぐり、思わずびくんと震えが走る。
「………おい」
「き、聞いてるわよっ!」
我知らず声が裏返ってしまい、まもりは再び目を伏せる。
目の前の悪魔は、やれやれといった様子で顎を上げた。
「本当に聞いてんのか、糞マネ?次の作戦の、重要なポイントだぞ」
「聞いてるってば……!」
まもりの敏感な耳元をくすぐる声は、囁くように低い。
悪魔でも周りを気にする事があるのか、それとも別の意図か。
誘惑するようなその声色と、かすれた吐息は、
まもりの体温をひたすらに上げていく。
「だったら、こっち見ろよ」
いつもなら反抗したくなるような命令口調でそう言われても、
今のまもりには、声を荒げる余裕すらない。
なぜなら。
「ち、近すぎる……っのよ!もう少し、離れて……!」
もはや超過量をどれだけオーバーしているのかも分からない、満員電車。
まもりは、出入り口付近の角に、ヒル魔の身体で押し付けられている。
栗色と金色の髪が触れ合い、互いの脚は、人ごみに押され絡みあう。
一言口にするたびに、その近さを改めて感じてしまう、この状況。
視線を合わせる事もかなわず、今、まもりに出来る事といえば
鞄で胸元をガードする、それだけだった。
「しょうがねえだろが。何?ケケケ、意識しちゃってんの?」
普段通りのからかいの言葉が上から注がれ、まもりは悔しげに唇を噛む。
「いいから……!もう少し、そっちに……」
「無理」
その申し出は、無慈悲にも一瞬で却下された。
この、息苦しいほどの人ごみの中、一歩も動けないのは当然である。
ヒル魔がそこに立って、まもりの身体をガードしているからこそ、
まだこうして会話が出来る事くらい、まもりも百も承知では、あった。
何も言い返せなくなったまもりに、ヒル魔の更なる追い討ちは続く。
「つーか、鞄下ろせ。痛い」
「………」
それが分かっているからこそ、まもりは逆らえない。
唇を噛みしめ、目線を逸らしたまま、ヒル魔の言いつけ通り、鞄を胸元から離した。
その刹那、がたんと電車が大きく揺れる。
「きゃっ……!」
倒れそうになるまもりを支えたのは、ヒル魔の長い腕だった。
背中に回った左腕に力がこもり、まもりの胸がヒル魔の胸に押し付けられる。
先端がヒル魔の体温を感じ、立ち上がってくるような気がして、
まもりは慌てて気を逸らそうと、首を振った。
だが、次の瞬間、まもりの身体は沸騰したように熱くなる。
「危ねーな。ったく………ん?なに赤くなってんだよ?」
「ヒ、ヒ、ヒ、ヒ、ヒル魔く………っ!!」
叫び出さなかったのは、人前だからだ。
ここが誰もいない部室なら、平手打ちが飛んでいた事だろう。
ヒル魔の手のひらは、まもりの腰を通り過ぎ、その下の双丘を撫で回していた。
「こっの……痴漢……変態!」
「混んでるんだから、仕方ねーだろ?黙ってな、糞マネ。目立ってるぞ」
スカートの上からその柔らかな肉を揉みしだきながら、飄々と口にする。
周囲の視線を感じ、まもりははっとして、声をひそめた。
「それでいい」
まもりの唇が真一文字に閉じられたのを確認してから、悪魔は行動を開始した。
スカートをまくりあげ、下着の上から撫でさする。
あまりにも直接的な行動に、まもりは叫び出しそうになるが、必死に唇を噛んで堪える。
きつい目線でヒル魔を見上げても、当然そんなもの、悪魔にはまるで効果はなく。
ショーツの上から割れ目をさすっていた長い指が、下着の中へと及ぶまで、
それほど時間はかからなかった。
「……っ、………んっ………」
瞳を閉じ、懸命に声を漏らさぬよう我慢するまもりの姿は、
ヒル魔でなくとも、嗜虐心を煽られるものであった。
「目的地までは、まだしばらくある………ケケケ、耐えろよ?」
挑発的にそう言うと、ヒル魔はふぅ、と首筋に息を吹きかけた。
「………っ!!!」
それがトリガーになり、まもりはキッと顔を上げる。
そして、その涙目になった表情を見られたくないとでもいうように、
ぐい、と無理やり身体を反転させると、すっかり後ろを向いてしまった。
その強引な行動に、乗り合わせていた人たちが、迷惑そうに
2人の方を見遣る。咳払いも聞こえ、まもりはますますいたたまれなくなった。
「おっと、やるじゃねーか糞マネ。壁(ライン)になれるんじゃねーの……?」
ヒル魔のからかいの声が、髪をくすぐって後ろから響く。
完全無視をきめこんだまもりに、更に無慈悲な声が続いた。
「だが……残念ながら、その作戦は、失敗だ」
ヒル魔の腕が回りこみ、まもりを背後から抱きすくめる。
その体勢にまもりが動揺した隙を、巧妙な司令塔が逃すはずもなく。
左手がまもりの胸元をさぐり、右手がスカートを前からめくりあげた。
「ちょっ……!」
抵抗しようとするが、すっぽりと拘束された身体は動かせず、
声も上げる事が出来ない状況で、まもりは血の気が引くのを感じた。
周囲に視線を走らせるが、この状態に気付いている乗客はいない。
どこぞのカップルが密着しているだけだと、さして興味も惹かれていないようだ。
とりあえず安堵の息をつくが、無論、本当の危機はこれからというのも、分かっていた。
長い指が器用に制服のボタンを外し、中へと侵入してくる。
スカートは腰までまくり上げられ、下着の上からくすぐるように。
「………ん………っ!」
一般的な「痴漢」よりよほどダイレクトな行為。
だが、今までに出くわしたそれと比べ、まるで嫌悪感が無い事に気付いたまもりは
一瞬脳裏に浮かんだその思いを払拭するように、ぎゅっと瞳を閉じた。
(もし、他の人に見られたら……。ど、どうにかしなくちゃ)
大きく肌蹴られた胸元だけでも隠すように、まもりは身をよじる。
ドアに身体を押し付け、乗客から見えない位置へと身体を向けた。
──せめて、こっち側のドアが開けば、逃げられるのに。
目的地までは決して開く事はないドアを睨みながら、まもりはぼんやりと考える。
(まさかヒル魔くん、最初からこれが狙いで………)
だが、その思考は次の瞬間、一気に霧散する事となった。
「はっ………ひゃ、ぁんっ!………っ」
びくびく、とまもりの細い身体がしなる。
ヒル魔の指が、胸元の下着を通り過ぎ、その先端の尖りをつまんでいた。
同時に、下半身に伸びた手が蠢き、中指の腹で快感の芽を撫でさする。
思わず漏れてしまった声に、まもりは狼狽しながら、手で口を押さえた。
あたりの乗客が、ちらりと2人に目を向けて、再び曖昧に視線を逸らす。
ドアのガラス越しに、背後の悪魔を睨みつけても、意地悪な笑みが返ってくるだけで。
長い指の先で、軽く叩くように乳首を刺激される。
親指と人差し指で、陰核を挟まれ、こりこりと苛まれる。
「………ふっ…………っく、………!!」
逃げられない、声を出す事すら許されないこの状況下で、まもりの脚が震えた。
ガラスに映る自分の顔。すっかり上気して紅に染まった肌と、潤んだ瞳。
あまりに淫らなその表情を自覚すると同時に、まもりは、自らの秘所から
とろりとした液体が流れるのを感じた。
心を埋めゆく諦めと羞恥に、ドアに押し当てていた拳をきゅっと握る。
「糞マネ。辛いなら、俺に寄り掛かってろ」
行動と似つかわしくない、珍しすぎる、どこか優しげな声が囁かれた瞬間、
まもりは、身体から抵抗する力がするすると抜けていくような気がした。
親指で胸の尖りを転がし、残りの指と掌で全体を揉みしだく。
潤みきった秘所の入り口をくすぐり、愛液を陰芽にまぶすようにいじりまわして。
ヒル魔の手は、まもりの身体中に、愛撫という名の蹂躙を与えていった。
「………だ、め……よ……、こんな、ところ……っで………」
「静かにしろ。見つかったら出場停止モンだ」
快感の吐息にかすれた声で、小さな反抗を示しても、もはやまるで効果はない。
耳に届くその低い声色さえも麻薬のように、まもりの脳髄をとろかしていく。
つぷり、とヒル魔の指が、蜜を滲ませたまもりの秘所に侵入した。
「……っん!!……ぁ……!」
電車の振動に合わせ、時に優しく、時に乱暴に、まもりの内部を弄んでゆく。
第二ボタンまで開いた、柔らかな胸をドアに押し付け、必死に声を抑えるが、
反対側の車両からもしこの光景を見られたらと思うと、余計に体温は増すばかり。
「こんな場所で、感じてんのか……?……やっぱりテメーは、エロいな……」
意地悪な台詞を呟きながら、悪魔の舌がまもりの耳をくすぐった。
「───っ!!………ぅ、………ふ、ぁっ………」
まもりは、大きな瞳に涙を滲ませ、襲ってくる快感に懸命に耐える。
視線を感じる気がする。みんなに、見られているような気がする。
あのサラリーマンに気付かれているんじゃ?それとも、あっちの学生に?
気のせいだと分かっていても、どうしても心臓は早鐘のように音を立てて。
悪魔の爪が桃色の乳首をはじき、秘所を2本の指がかきまぜる。
同時に、愛液にまみれた陰核を転がされると、まもりの頭に電流が走った。
「ぁ………っ、ん、───っ!!」
目の前が真っ白になり、背中が弓なりにしなると、両脚がガクガクと揺れる。
くずれ落ちそうになるその身体を、ヒル魔の長い腕が抱きとめ、支えた。
熱く湿った吐息が、まもりの唇から漏れる。
荒い息に胸を上下させると、目の前のガラス扉が白く曇っていった。
「は……っ、はっ、ぁ………ふぁ………」
脱力した身体をヒル魔の腕に預け、何とかこの熱をやりすごそうと試みる。
だが、きつく回された腕に、体温と鼓動は競うように上がっていくばかりで。
ガラスに映りこむ悪魔の尖った瞳に浮かされたように、まもりは唇を開いた。
「………んっ………ねえ、ヒル、魔 くん………わたし、ま……だ」
紡がれた言葉の端々に、欲望の欠片が見え隠れする。
ヒル魔の唇が、それに応じて吊りあがったかに見えた、瞬間。
『───○○ー、○○ー。お出口は右側です』
ぷしゅー、というマヌケな空気音と共に、眼前の扉が開いた。
新しい空気がふたりの頬を撫でて髪を揺らし、息苦しかった車内に満ちる。
ぽかんとしたままヒル魔に抱えられているまもりを横目で見ながら
乗り合わせた人々が、次々と駅のホームへと降りていった。
(わ、私、今なにを言おうとしたの!?)
脳に酸素が満ちると、先程自分が呟いた言葉を思い出し、まもりは青くなった。
「おい、着いたぜ糞マネ。なにボーッとしてんだ、降りんぞ」
聞こえていなかったのか、ヒル魔は何事もなかったような顔で、まもりを急かす。
「わ……わ、わかってますっ!」
懸命に居住まいを正し、まもりは力の入らない足を踏み出した。
半ばまで開けられていたはずのボタンも、なぜかきちんと上まで閉まっている。
───いつの間に。悪魔の器用さが、今だけはまもりの癪に障った。
自分だけがまだ夢の続きを見ているような、そんな気がした。

身体が熱い。息が乱れる。脚が震えて、うまく歩けない。
気を抜くと、溢れる蜜が、つぅと一筋太ももに流れてしまいそうで。
ヒル魔によって灯された炎は、消える事無くまもりの中でくすぶっていた。
今すぐ、彼の指に、舌に、言葉に、翻弄されたい。
感じる所を弄り回され、責められ、そして、彼自身に貫かれたい。
そんな淫らな妄想が渦巻いて、まもりはぶるりと身体を震わせた。
両脚の間が、先程の刺激の続きを求めてしびれている。
こんな事を考えている自分が悔しい。でも、考えずにはいられない。
だが、こんな場所ではどうする事もできやしない。ああ、だけど。
思考の無限ループが、まもりの頭の中を駆け巡り、炎に油を注いでゆく。
無論、駅やデパートのトイレや物陰など、思いつかないわけではなかったが、
そんな所で行為に及ぶなど、彼女の「常識」という名のプライドが許さなかった。
駅を出てからも、何度も足を止めるまもりを、ヒル魔が面白そうに見やる。
「ずーいぶんと鈍足だな、糞マネ。日が暮れちまう。さっさと行くぞ」
「………っ、待っ………!!」
冷酷無比な声がまもりの耳に届き、心臓が締め付けられるような感覚を覚える。
次の瞬間、まもりは無意識の内に、ヒル魔の袖口をきゅう、と掴んでいた。
悪魔が振り向き、耳まで真っ赤に染まった彼女に気付くと、笑みを浮かべる。
「どーした、糞マネ……。言いたい事あるなら、言わなきゃわかんねえぞ」
絶対、分かっているくせに。まもりは唇を噛み、濡れた瞳を悔しげに歪める。
その様子を見て、ヒル魔はくつくつと笑うと、いきなり身を屈め、耳に唇を寄せた。
「ケケケ。かわいいやつ………」
低い声でからかうように囁き、それだけでは飽き足らず、ぺろりと舌を這わせる。
「ひゃ、ぁう………んっ……───!!」
あられもない声を上げてしまい、まもりは間近に迫った悪魔の瞳を睨んだ。
人通りが少ないとはいえ、ここは公道である。
「や、やめてっ……こんな所で………っ…………──あっ……?」
きつい視線を向けた先で、まもりの瞳が大きく見開かれた。
気付いて、ヒル魔がその視線の先を追う。
「……おーお、あいつら。こんな時間からお盛んじゃねえか」
狙った訳ではなかったが、視界に入ったのは、派手な外装のラブホテル。
そこから出てきたのは、ピンク色の2人の世界を醸し出している男女。
「恋ヶ浜キューピッドの初條と、その彼女………ケケケ、脅迫ネタゲット、と」
悪魔は心底楽しげに、どす黒い妖気を発する手帳に書き込んでゆく。
「信じられない……!制服で、あ、あんなところ……」
見られている事も気付かず去っていく男女の背中に、まもりは小さく呟いた。
それを聞いたヒル魔が、意地悪そうに片眉をつり上げる。
「別に、制服くらい大した問題じゃねえだろうが。
大抵無人で入れるし、いちいちチェックするほど、向こうも暇じゃねえ」
どうでも良さそうに口にするヒル魔に、まもりは眉を顰めた。
(どうして、そんな事知ってるのよ)
ちくり、とまもりの胸が痛む。
嫉妬なんて思いたくもないが、もやもやした感情を抑える事は出来なかった。
湧き上がる気持ちのまま、袖口を掴んでいた指先に、ぎゅっと力を込める。
「おっと………?」
ヒル魔の呟きに耳を貸さず、そのまま半ば引きずるような形で、まもりは歩き出した。
脇目も振らず、真っ直ぐ前を向いたまま、つかつかとホテルの門をくぐり抜ける。
「おーい糞マネ。まったりしてる時間はないぜ?」
雰囲気のあるフロントに引きずられていきながら、ヒル魔が口にした。
「サービスタイムを使えばいいでしょ。1時間半で2500円よ、ここ」
「………へえ?」
ヒル魔の顔を見ようともせず、まもりは言い放つ。
(知ってるんだから。私だって、知ってるんだから!)
咲蘭やアコから教わった僅かな情報を総動員して、慣れたフリを続ける。
まもりは、後頭部に全て見透かすような笑みが注がれているような気がして、
振り向かないまま、無難そうな部屋のボタンを押すと、震える手でキーを受け取る。
悪魔が、ひゅう、と軽く口笛を吹いた。

薄暗い部屋に入った途端、まもりは覚悟を決めたように
背後の悪魔を見上げると、口付ける。まるでかみつくような、荒々しいキス。
「んっ………む、………ぅん………っ」
熱くなった舌を絡め、溶け合わせるように重ねる。
互いの唾液が混ざる淫らな音が部屋中に響き、聴覚をくすぐる。
ヒル魔の腕がまもりの腰に周り、背中の線を下から上へなぞった。
「やっ………はぁっ………!ヒル魔、く…………」
火の点いていた身体は、それだけですっかり準備を完了させてしまう。
限界まで我慢していた蜜が、白い足の筋をつたって、とろりとこぼれた。
「姉崎」
完全に2人きりの空間になった時だけ、彼はその名を呼ぶ。
それが合図だったかのように、どちらからともなく、どさりとベッドに倒れこんだ。
いつもはボールを持っている手が、器用にまもりの制服を脱がしてゆく。
時間を数える間もなく、邪魔なものは床にぱさりと落ちていった。
組み伏せられたまもりの腰に、ヒル魔の熱く滾ったものが触れる。
「………ヒル魔、くん」
興奮していたのは自分だけじゃなかったと、まもりは気付かされる。
ふたり以外は、誰もいない空間。
薄いブルーの内装と、柔らかなベッドが、ふたりを守るように包み込む。
頬がヒル魔の尖った耳に触れると、そこはまもりと同じだけ、燃えるように熱い。
銀色のピアスの、冷たい金属の感触さえも、ひたすらに鼓動を上げる効果しかなく。
生まれたままの姿で互いの体温を感じ、まもりはやっと、心から安堵した。
ヒル魔の舌が、まもりの首筋をくすぐり、鎖骨までを舐め上げる。
ちゅう、と音を立てて胸元を吸い、悪魔の赤い所有印を残していく。
指先で乳首を弾くようにされると、まもりの身体がびくんと跳ねた。
下腹部に手を延ばし、すっかり愛液を溢れさせる秘所へと這わせる。
そこはわななきながらも、易々と2本の指を飲み込んでいった。
「あっ……ん、ふゃぁぁ……っ……!!」
焦らされきった身体は、それだけで達してしまいそうな程、素直に快感を訴える。
「いい声………ケケ、もっと、もっと、聞かせやがれ………っ」
心をかき乱すようなその声に、ヒル魔の背中にぞくりとしたものが走る。
固く尖らせた舌で、胸の先端をしごくように舐めとると、まもりの身体がしなった。
「おねが……い……もう……、焦らさ、ないで………」
潤んだ瞳を悪魔に向けて、まもりは懇願する。
細い腕をヒル魔の腰に向かってそうっと伸ばし、中心で脈打つ彼自身に触れた。
そのまま、誘うように指先を揺らめかせられると、総毛立つような快感が昇ってきて、
ヒル魔はにぃ、と口の端を上げる。
「………言われなくても」
とろとろに潤みきった秘所に、ぬるりと先端を当てる。
ちゅぷ、と期待に満ちた音が部屋に反響し、耳の中から脳髄をとろかしてゆく。
そのままゆっくりと侵入させると、圧力に蜜が溢れ、白いシーツを淫猥に濡らして。
ひくひくと振動する肉壁がヒル魔自身に絡みつき、揉み込むように受け入れていった。
「……ぁああっ!!………んっく………」
内部から押し広げられる感覚に、まもりの白い喉がのけぞり、鳴る。
それだけで軽く達してしまったのか、ヒル魔を包み込む柔らかな壁は
不規則にぶるぶると震え、まとわりついてくすぐり、離さない。
まるで何本もの指が絡みつき、全体をしごき上げるかのような感覚。
「くっ………、やっぱり、テメーは 最高………だ」
悪魔の表情から余裕の色がかすかに消え、本音が漏れた。
まもりがそっと潤んだ瞳を開けると、身体の上で息づくヒル魔が目に入る。
「当然、で………しょう………」
挑戦的な視線で見上げてやる。
他の人相手なら、絶対に言わないし、始めから言いたくもならないような台詞。
なぜ、この悪魔に対してだけは、これほどムキになってしまうのか。
その答えは分かっている。分かっていても、互いに、素直に口にしてなんかやらない。
子供じみた意地。でも、その気持ちは、ふたりともきっと、共有している。
そう分かっていれば、それだけで良かった。
「動くぞ」
ヒル魔が、ぺろりと自らの唇を舐める。
その扇情的なしぐさに囚われ、まもりが台詞の意味を理解する前に、
無慈悲な悪魔は行動を開始していた。
栗色の髪の両側に手を付いて、細身の、だがしっかりと鍛えられた身体が揺れる。
「……っ、あ!!………ん、んぅ………っ」
いきなり強まった刺激に、下腹部からの痺れが全身に広がり、まもりは眉根を寄せる。
油断すれば隙間から漏れてしまうだろう淫らな嬌声を、意思の力で押さえ込む。
「ここじゃ、誰にも聞かれねえ。………声、我慢すんな」
手の甲を唇にあて、乱れた声を抑えるまもりに、悪魔の声が落とされた。
「……ふ、……っく………でも………」
「いいから」
言うが早いか、片手でまもりの手首を取って、シーツに押し付ける。
「こうしてりゃ、口 押さえらんねえだろ………」
そのまま指を絡ませ、ぎゅうときつく握り締める。
触れ合う手のひらからまた熱が生まれ、互いの身体に沁み込んでいった。
腰がゆらめく。
抜けるぎりぎりまで引いて、再び最奥部まで打ち付ける。
大きく動かしていたかと思えば、いきなり小刻みな振動に変えて。
「あ、あ………っ、だめ、……ん、ふぁぁぁぁっ……!!」
そのたびに、素直に快感を訴える、強く抱いたら壊れそうな身体。
声を抑える事すら許されず、背中を反らして反応を示す。
ひとつひとつの仕草に、悪魔は満足げに、牙を見せて笑った。
淫らな腰をこすりつけるように、ぐりぐりと押し付ける。
そのたび、あふれ出した蜜が、じゅくじゅくと卑猥な音色を奏でて。
勢い良く腰を引いて、それとは対称的に、ゆっくりと押し込む。
今度はゆるゆると引き抜き、再度、強く強く、深々と貫いて。
「───あっ、あぁぁ………っ!!ヒル魔く……ん……っ!!」
従順に反応を示す、最高の身体。
「姉崎…………たまんねえ」
は、と短い息を吐き、ヒル魔は抽送を繰り返してゆく。
全てを受け入れるまもりの内部はとろけるように熱く、ヒル魔自身を咥え込む。
しなやかに、時に強く雄の証を包み、下から上までこすりあげる。
先端が奥に当たれば、そこは柔らかい刷毛のような感触で
敏感な亀頭をとらえ、撫で上げ、震わせ、揺らし、弄ぶ。
「………く………っ、そろそろ、だ」
低くかすれた声で限界を告げ、繋いでいない方の手でまもりの頬を撫でる。
「わ……たし、も………っ、もう………………っ!!」
それに応じて、まもりの内部が、答えるようにジュンと熱くなった。
まもりの細い腕が、ヒル魔の首に回り、きゅ、と力がこもる。
荒く上下する胸が触れ合い、互いの興奮を更に加速させていく。
頂点を目指すように、動きが速度を上げ、強まる。
繋がった部分から漏れる淫猥な音は、留まる事なく。
ぐちゅぐちゅとした水音と、濡れた肌が触れ合う音が響き渡る。
「あ、あ ん………っ!!もう、も………う、ダメ、ぇ………っ」
金色の髪に顔を埋めて、まもりは切羽詰った声を綴る。
「はっ………、…………っく………………」
同時に、冷酷な悪魔の唇からも、忍びきれない喘ぎが零れた。
それを隠すかのように、そっと口付けを重ねあう。
舌が絡み合い、もつれ、粘膜を愛撫して、互いを味わう。
名残惜しげに唇が離れると、あとはひたすらに突き上げる。
「いくぞ……………姉崎……っ」
「ヒル魔……くんっ……!!あ、あぁぁぁぁーーっ……ん……!!」
ヒル魔の宣言とともに、まもりの唇からひときわ高い声が上がると、
熱の中心を包み込んだ膣内が、びゅくびゅくと痙攣する。
「…………くっ…………!」
蠕動するような刺激に耐え切れず、悪魔も観念したかのように、
白濁した精を全て、その内部へと吐き出した。

快感の証が放たれると、絶頂が身体中を支配する。
頭の中で、快感がはじけて、下腹部の痺れが全身を震わせる。
まもりは、内部に燃えるような熱が放たれたのを感じると───
………そこで、意識を手放した。

………。
………………。

「……ん……」
まどろみの中、まもりが瞳をゆっくりと開く。
「やぁっとお目覚めですか、風紀委員サン?」
耳元でいつもの嫌味な声が聞こえ、彼女は唐突に覚醒した。
「………ここ………わ、わたし!!?」
絶頂の余韻が残る気だるげな身体をがばりと起こし、まもりは青ざめる。
「いい寝顔だったぜ。ケケケ、つまみ食いする夢でも見てたのか?」
「からかわないでっ!!わ、私ったら、こんな所に………嘘、でしょ………」
風紀委員としての立場を思い出し、シーツで身体を隠したまま、
まもりはへなへなと膝に額をつけ、縮こまる。
「なーにを今更。積極的なのも、たまには悪くねえよなァ?」
追い討ちのように、悪魔の声が降り注ぐ。
まもりはますます小さくなって───いきなり、がば、と顔を上げた。
「今、何時!!?」
「7時。夜の」
何でもなさそうに、ヒル魔が口にする。
それを聞いた途端、まもりの顔色は完全に蒼白になった。
「用事……終わってない……」
マネージャーとしての仕事を思い出し、声が震える。
「あー、平気。糞ハゲについでに行かせた」
隣のヒル魔がその言葉を示すように、携帯を宙に放り投げ、軽くキャッチする。
「雪光くん………ごめんなさい………」
自己嫌悪に再び白いシーツに顔を埋めると、か細い溜息をつく。
そして次の瞬間、再び勢い良く顔を上げた。
「サービスタイム終わってるじゃない!延長料金が……!!」
まるっきり顔色を失ったまもりに、ヒル魔はまたしても、唇を吊り上げた。
「それも問題ねえ。ここのオーナーも『知り合い』だからな、ケケケケ」
真っ黒な装丁の脅迫手帳を片手に、悪魔の笑みを浮かべてみせる。
「………」
素直に喜ぶ訳にもいかず、まもりは沈黙する他無かった。
「それより、だ。なァんで、サービスタイムや延長料金のシステム知ってんのか、
くわーしく教えてもらわねーとな………なあ、風紀委員のまもりサン?」
その瞳が嗜虐的な色を帯びたのに気付くと、シーツを掴んだまま、まもりは後ずさる。
「そ、それは………友達から、教わ………っ」
「言い訳無用。その身体から直接、聞き出してやる。
第二試合開始だ、逃げんなよ!Ya────Ha────!!!」

むしろ第三試合でしょう、という反論を紡ぐ間もなく、
天使の悲鳴は、悪魔の腕の中にかき消されていきましたとさ。
めでたし、めでたし。


 



 
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